【第12話】Team History 2011-2019

エッセイ
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チームの活動が止まってから、1年の歳月が流れようとしていた頃、以前と同じように健斗から連絡があった。

ちょっと話したいことがあるんですけど…。

別のチームを見つけたからそっちで活動しますとか、そういう話かもしれないと思いながら、近所のファミレスで集まることになった。そして健斗の口から、意外な言葉が出てきた。

和也と宏嗣と、やっぱりこのチームでもう1回活動したいって話をしました。和也の友達の蓮と泰樹も一緒にしたいって言ってくれているので、またチームとしてやり直したいです。

相変わらずカワイイ顔をしていた健斗だったが、暫く会わないうちに頼もしくなっていた。そして、この話をこの場に、一番に持ってきてくれたことが嬉しかった。チームの活動が止まった後、何度も後悔していた。事実上、チームを活動休止に追いやってしまった自分のやり方を責める日もあった。健斗はもう一度チャンスをくれないかというニュアンスでお願いをしに来てくれたが、自分も同じ気持ちだったし、逆に自分がチャンスをもらいたいくらいだった。

しかし、健斗の目は本気だった。

この1年、健斗は知り合いの別のチームでバスケを続けていて、チーム運営の実情を見た。そのチームは、自分の中学時代のコーチが所属しているチームだったのだが、定期的にキャプテンを変更したり、みんなで集まって方針を話し合ったりしていたそうで、健斗の目には新鮮に映っていた。そして同時に、「長野さんはこれを5年以上も1人でやり続けていたのか」と思ったとのこと。かなり苦労を感じていたことは否定しないが、健斗が1年間所属していたチームほど活発ではなかったので、おこがましいと思った。それでも健斗は、別のチームに所属することでPlanetのこれまでを客観的に捉えてくれるような人間に成長していた。

健斗やその年代のメンバーの熱意をありがたく受け取って、チームとしての活動を再開することに賛成した。この時、彼らが発起してくれなかったら今のPlanetはない。

そうして、今までのメンバーに蓮と泰樹を加えた新体制になったPlanetは、健斗をキャプテンに据えて再スタートを切った。
新体制になってからは、健斗が体育館を確保し、和也と宏嗣でお金の管理を取り纏めてくれた。更には、蓮と泰樹が率先して助っ人を集めてくれることで紅白戦の人数集めにも苦戦しなかった。チームの管理を複数人でこなしてくれたことで、かなり楽になった。我ながら器が小さいと思うけれど、この年は1年間この状況に甘えようと思った。そして、このおかげで自分が気付けなかったチームの在り方を見つめ直すことが出来たと思う。

そしてこの年の夏、久しぶりに対外試合を組むことになった。和也の会社の先輩から申し込まれた練習試合だった。

対戦相手は「AZUL UNITED」

和也からは、「初心者が多く最近出来たチーム」だという情報が入っていたが、その情報には寸分の狂いもなかった。こちらの初心者は村崎1人。とは言っても、経験者の中で数年揉まれてきた村崎がここで臆するはずもなく、失礼を承知で書き記すが、当時の力の差は歴然だった。しかし、この試合では勝てたことは元より、それ以外にも嬉しかったことが2つあった。

1つ目は、試合前に黎一(れお)が「力の差があっても全力で戦うことが礼儀ですね!」と言っていたこと。負けてばかりだったチームが言うセリフではないが、言う通りだと思った。かくいうPlanetも、ベスメン大会で国体に出たようなレベルの選手がゴロゴロいるチームに130点も奪われた試合があった。後半に入ると相手チームはヘラヘラと遊び始めていたし、それほどまでに力の差があった。しかしこちらは至って真面目に頑張っているのだから、悔しくないはずがなかった。たとえ自分たちが力のある立場であったとしても、同じことはしたくないと思っていたので、黎一のひと言が嬉しかったし、自分自身も試合を通じて手は抜かなかった。

と、さも自分が相手より上手いような表現をしたものの、この試合の自分の得点は0。限りなく0。油断も隙もない。

そして、2つ目に嬉しかったことは何か。ずばりこのAZULというチームに出会えたことだ。まるで活動当初の自分たちを見ているようだった。チームに居る数少ない経験者を中心に初心者のメンバーも含めて全員が楽しそうにプレイしていたし、チームを纏める松尾さんもまた、自分と同じようにチームの中では経験が浅い方だったからだ。スコアに差が開いても笑顔を失わないチームだったし、対戦相手の自分たちが良いプレイをしたら「今のは止めれんばい!」と手を叩いて褒めてくれた。

単純に、みんながバスケを楽しんでいた。

Planetも初めは間違いなくそういうチームだったし、勝ち負け以前に楽しいが先行していた。いつの間にか勝ちが欲しくなって、試合に出られる時間にも差が生まれて、チームの統制が徐々に取れなくなって、そして崩壊した。AZULのプレイを見ていると、チームを立ち上げた頃の「バスケが楽しい」という単純明快な気持ちを思い出させてくれた。

あくまで個人的な受け取り方かもしれないが、チームの始まりから今までを見てきたからこそだと思う。この練習試合を機に、今まで心のどこかで失っていたバスケの楽しさがみるみるうちに蘇った。

後々話を聴くと、このチームは松尾さんが営むバー「AZUL」の常連客の皆さんを中心に立ち上げたチームらしく、お店にも度々お邪魔させてもらうようになって、練習試合じゃなくとも「いつでもバスケに遊びに来い!」と言ってもらえるようになった。

今では毎月の予定を連絡してくれるので、予定が空いている日にはありがたくお邪魔させてもらっている。AZULの皆さんが聴かれると面白くないかもしれないが、自分の中では「第二の故郷」と形容してもおかしくないくらいに、気持ちよくプレイさせていただいている。

チームを再興してくれた健斗・和也・宏嗣・蓮・泰樹。

そして、勝ち負け以前に「楽しむこと」の大切さを思い出させてくれたAZUL UNITEDのみなさん。

この2つの要因が、今の自分のバスケライフにとって欠かせないきっかけでした。


続く

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エッセイ
歩く人と止まる人

さて、今日の記事は何を書こうか。記事を書けない状況にあるときには次々と書きたい話題が次々と出てくるのに、かしこまって考えてしまうと出てこない。駅からはバスで帰るため、駅に着くまでの20分間で今日更新する内容を決めよう。文章はそれからだ。最近買い替えたばかりのスマートフォンをポケットにしまった。

エッセイ
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【第14話(終)】Team History 2011-2019

こんな経験が出来たのは、ひとえに自分の発言に賛成し一緒にHYTを立ち上げてくれた平田・増田。Planetとして活動するきっかけを作ってくれた上野・敦志。活動休止後に再起を促してくれた健斗・宏嗣・和也。そして村崎・蓮・泰樹をはじめ、今までもこれからもチームに関わってくれたメンバーや周りの支えがあってこそだと、心から感謝している。

エッセイ
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【第13話】Team History 2011-2019

前回参加していた時はリーグの参加は強要していなかったものの、「みんなが出るなら…」くらいの気持ちで登録をしてくれていた人もいると思う。しかし今回の選手登録は、同じように「出たい人は登録して、試合は出なくてもいいという人は強制はしない」と言い、それぞれが本当の気持ちで登録したり、登録しなかったりの選択が出来た。