この1年で、僕の子育てに対する価値観が大きく変わった。

正確には、僕たち夫婦かもしれない。小さい頃から週末は家族で過ごすことが当たり前の家庭で育ってきた僕たちは、自分たちに子どもが生まれてもその習慣はきっと変わらない。そういう価値観の中で生きてきた。

交際している間に保育士になるという夢を叶えた妻は、事あるごとに「仕事が休みの日に子どもを預ける親の気持ちが分からない。どうして家族との時間を大切にしないのか。」とこぼしていた。

それは職場から早く帰れないことに対するただの愚痴で、特に大きな意味もない発言だったのかもしれない。だけど、僕自身もその言葉に首を傾げたことは一度もなかったし、同じことを感じていた。

それから入籍し、程なくして妻が妊娠。昨年8月に長男が生まれた。子どもとの生活に慣れるため実家で約1ヶ月間に渡る慣らし運転を終えた彼女は、意気揚々と我が家に戻って来た。

0歳児の担任として働いてきた経験を活かしながら子育てに奮闘し、僕が長期出張に行っている間も彼女なりの「理想の母」としての道を進んでいたように思う。

今年7月になって僕が転職し、妻自身も8月から保育士としての仕事を再開。一緒に暮らす日々は戻って来たけれど、以前のようなゆったりとした時間の確保が難しくなった。人生をフルマラソンに例えることはよくあるけれど、まるで100m走をひたすら繰り返しているような感覚で毎日が過ぎ去っている。


今回は、そんな日々の中に潤いを与えてくれる女性のお話。


講座のときに紙芝居みたいなものを使っているので、その絵を見せながら喋っても大丈夫ですか?


そう言って紙芝居を広げ始めたのは、東長崎地区で自宅サロン「grace of genesis」を経営している濵口春香さん。クレイセラピーとチャンピサージを専門に活動する3児の母だ。なんと11月には第4子が誕生される予定とのことだったので、オンラインでの取材にご協力いただいた。(無理を言ってしまったのにありがとうございます……!)

(11月に赤ちゃんの絵が追加される…?)


クレイセラピーとは?

濵口:火山が噴火したときにできる火成岩という岩があるんですけど、その岩が太陽や雨、空気といった自然のものに触れながら剥がれたり砕けたりします。そうやって長い年月を経て生まれた地層に含まれる粘土をクレイを言います。

日本語に直訳すると「土壌に含まれた粘土質」なんですけど、レンガを作る材料や陶芸に使う材料にもクレイは含まれているんですね。

その中でも色々な条件を満たした「セラピーに使えるようなもの」をここではクレイと表現するんですが、それを美容や生活用品として使いながら、癒されていくというのがクレイセラピーになります。


— 協会のホームページを見ていると、健康になろうとする力を活性化する自然療法だと書かれていました。以前、荒木真波さんから聴いた薬膳のお話と少し考え方が似ているのかなあと…。


濵口:自然療法なので、似ている部分はあるかもしれません。例えば、お手当てとして使ったりとか。美容ももちろんですが、どちらかというと健康にフォーカスしたセラピーですね。特に、自分の心や身体の状態に応じて使い分けられることがメリットだと思います。


— クレイはどういった働きを?


濵口:私は粉末状のクレイを使っているんですが、混ぜ方や混ぜるものによって色んな形に変わるんです。

クレイは顕微鏡で見るとプレート型になっているんですが、このプレートがマイナスに帯びています。対して、体内の毒素や電磁波、余計な水分といった不要なものはプラスに帯びていて、クレイが磁石のように引っ張り出してくれるようなイメージです。

これをデトックス作用と呼ぶんですけど、ペーストにしたものを熱が出たときにおでこに貼るとか、湿布がわりに貼るとか。熱や痛みを和らげたりすることができます。


— ということは、身体の外からアプローチしていく形が主になってくるんでしょうか?


濵口:内服できるクレイも存在するんですけど、日本では規制が厳しい。ヨーロッパではカプセルに入れたクレイをサプリメントみたいに使うこともあるみたいですが、日本で「飲めます」っていうのはほとんど見たことがないです。

内服とは少し違うものでいうと、うがいに使って風邪の予防をしたりはできます。クレイを使ったからといってウイルスを殺すことはできないんですが、活性化を鈍らせることはできるので。自然由来のものなので、子どもたちにはよく使わせています。

浴槽に入れれば身体の汚れを取ってくれるから、その日は石鹸で洗う必要がなくなる。子どもを洗ってあげるのが大変だと思ったときは、湯船にクレイをざーっと突っ込んで、「頭まで浸かりなさい!」と言って終わりです。(笑)


— なんと!粉末状のクレイをお風呂に突っ込むだけで?


濵口:そうなんです!パウダーやジェルにして、あるいはオイルや水と混ぜたり。それよりも更に水を含ませて、クレイウォーターにしたり。主な使い方はこの5つ。その時の用途に応じて、使い分けています。


— お風呂に突っ込むやつ、すごく気になります…。


濵口:本当にスッキリしますよ!

パソコンを長時間使って帯びた電磁波とかもクレイが取ってくれるので、頭までスッキリ。もっと言えば、私の中では心の状態が整うっていう実感がすごくあるんです。森林浴をしているような……すーっと抜ける感じがあるじゃないですか。それが体感できる。

イライラしたり、心が不安定になったときに、手軽に自分で整えられるセラピーなのかなと思っています。


— うちの子は、肌が乾燥するとすぐ赤くなるんです。病院に行くと決まってワセリンをいただくんですけど、塗るのをやめたらまた赤くなる。そういうのにも効きますかね…?


濵口:それだったら、オイルと混ぜて保湿しながらクレイを塗ってあげるといいかもしれません。特に小さい子は「これが嫌だ」とか言えないですよね。私も、なるべく子どもにとって心地が良いもの、かつ安全なもので治してあげたいと思っていて…。

うちの子たちも、3人とも肌が弱くてアトピー体質なんです。あまりにひどいときは処方してもらったものを使うけど、落ち着いてきたらクレイを使う。子どもたちもクレイを塗った感触が大好きで………長女はもう、オイルを混ぜて自分でやってます。

クレイも、種類によって様々な特徴がある。例えば、乾燥肌には赤いクレイ、日焼け後には黄色のクレイとか。身体の調子やそのときの気持ちで選ぶも良し、なんですけど、子どもたちは好きな色で選んでます。「ピンク―!」とか「みどりー!」とか。(笑)

(好きな色でもいい、まずはクレイを使うことから。)


仕事にしたいと思ったきっかけは?

濵口:とにかく子どもが大好きで、結婚する前は保育士として働いてました。働く中でたくさんの子どもたちや保護者のみなさんを見てきて「こういうお母さんになりたいな」っていうのが見えてきて、そして私はそうなれるだろうと思ってたんです。

預かっている子どもたちでさえ可愛いのに、これが自分の子どもだったらどんなに可愛いんだろうって。

それから1人目、2人目、3人目を産んで育児をしていると、言いたくないことを子どもに言っちゃったりして、気付いたら「こういうお母さんになりたくないな」っていうお母さんになっていたんです。

例えば子どもがお茶碗を割ったとき、私の心に余裕があると「大丈夫?ケガはない?」という声かけができるんですけど、逆に余裕がないと「なんてことをしてくれたんだ!」みたいに怒る鬼ばばあになっちゃう。(笑)

だけど声のかけ方以前に、子ども自身は既に「やっちゃった」って顔をしてるんです。これ、子どもじゃなくて私の問題なんじゃないかなって。もちろん、子どもがいけないことをして怒ることもあったけど、それだけじゃなかったということに気づいたんです。

(子どもの「やっちゃった」に、何色の言葉を重ねるか。)


色々考えたんですけど、子どもが生まれてから私自身の優先順位がすごく低くなってたなと思ったんです。自分の心のためにケアをすることはまずなかったし、「子どもが一番」という考えだけが先行して、それをしないといけない、そうじゃないといけないと自分に言い聞かせていた。

果たしていっぱいいっぱいになっている自分が接した子どもたちは、どう感じるんだろうと思えてきて、思い切って私の優先順位をあげたんです。私の心を満たそうと思って。(笑)

3人目を産んで、初めてセラピーを受けに行きました。


— それがクレイセラピー?


濵口:いえ、そのときは近所に気になっていたところがあって、チャンピサージという頭皮のケアを受けたんです。そこですごくスッキリして、それ以外にもマッサージを受けに行ったりとか、お金を使わずとも湯船に長く浸かるとか。

それってすごく身近なことだけど、ずっとできていなかったんですね。

お母さんって「そういうことをしちゃいけない」じゃないけど、子どものことが一番だし、自分のために何かをするっていう考えを持ちにくい。

中にはできないこともあるけど、私自身が優先順位を上げて、好きなことをするっていう経験をしていく中で「私もそういう場を提供できるようになりたい」と思うようになりました。

育児書を読んでいても、子どものことばかりでお母さんのケアの話って載ってないんです。「お母さんのケアって誰がするの?」というところから入って、チャンピサージとクレイセラピストの資格を取得しました。

施術に行ってケアをすることもスペシャルだけど、クレイはお客様自身のおうちでできるので。おうちに居ながらセルフケアができる手段がある。クレイを使って、私の想いを伝えていけたらいいなと思って。


— ありがとうございます。

実は、うちの妻も保育士なんです。はるさんのお話と少し被るんですけど、子どもが生まれるまでは「仕事が休みの日に子どもを預ける親の気持ちが分からない。」って言ってたんです。


濵口:わかる~~~!(笑)


— だけど、いざ子どもが生まれたらまとまった時間が確保しづらくなって。そうは言っても、休む時間は絶対に必要だなと。

今は保育士として経験を積んでいるけど、お母さんたちがエステや美容室に行っている間に、気軽に子どもを預けられる託児サービスにすごく興味があるみたいです。


濵口:私も理想像がはっきりとあったし、それに対するギャップを感じる場面が明らかに増えました。疲れた日はプロに任せる。そうすることで、優しいお母さんでいられるんですよね。

「休む」っていうのは自分のためだけど、そうすることで子どもや主人にも優しくなれる。余裕がないとイライラして、それこそ子どもがいるとかいないとか、結婚してるとかしてないとかじゃなくて、誰しもそうだと思うんです。

このご時世、「ストレス寄ってくるな~!」というのは無理なので、いかに自分自身を満たすかってところにフォーカスした方がいい。


— 最近、それに気付けた気がします……。


濵口:だよね~。もちろん、子どもを預けて心苦しいと思うこともあるけど、一緒にいる時間が長いからいいってわけじゃない。本当に、量より質!(笑)

協力してほしいときは頼る、ぜんぶ自分だけで抱え込まない。うちの子を見てくれる保育士さんたちもみんな優しくていい先生だし、お友だち同士の関わりも必要。

昔は「こう育てたい!」「私の子どもだから!」っていうのを譲れなかったけど、それを開け放ったらこんなにも優しいお母さんでいられるんだって、こんなにも子どもたちはニコニコしてくれるんだっていうのを感じたことで、考え方が大きく変わりました。

それに気付いていない人が多いんじゃないかなって。子どもに当たってしまうこともあるけど、その問題はどこにあるの?って考えたときに、自分を大切にできていますか?って。ぜひここに着目してほしいです。


— はるさん自身の優先度を上げたときにクレイやチャンピサージに出会って、それを多くの人に届けたいと思ったからお仕事にされた、ということですね。


濵口:そうです!クレイやチャンピサージだからやってるというわけではなくて、こういう風に誰かの心を満たせる手段として私がいたいです。

(自分の心の状態を知って、満たすことこそがセラピー。)


具体的な活動内容について

濵口:自宅サロンはお腹が大きくなってきたからお休みしてるんだけど、普段はチャンピサージと足のリンパトリートメントをやってます。

クレイに関してはいっぱい項目があるんですけど、フェイスパックだったら自分でペーストを作って、家でできるような講座を。ホームケアができるようにレクチャーをして、お客様自身が家で実践できるよう材料をプレゼントしています。


— クレイそのものの販売は行っていないんですか?


濵口:私はサロンをやっているので、業務用と言うか、容量が多いものを買うんです。本当はそれを小分けした方が安いんですけど、化粧品認可がおりているものをそうやって売ることは違法なんですね。

私としてはもっと気軽に使ってもらいたい、だけど協会からクレイを買うと少し割高なので……色々考えたんですけど、いまは講座を受けていただいたお客様にプレゼントとしてお渡しする形にしています。

(Clay便り、気になる……。)


はるさんが思うクレイセラピーの「強み」とは?

濵口:先ほどの話と少し被ってしまうんですが、私が提供するセラピーや話している内容は、「綺麗になるために」じゃなくて「心と体が安定すること」を目指しています。

美容的な効果を褒めてくれるのはすごく嬉しいけど、心も癒されていくところもぜひ実感してほしい。エステサロンと言うよりは、リラクゼーション。


— 心と体に対するアプローチを「体験」していただくイメージ?


濵口:そうですね。セルフケアを自宅でできるようになるので。忙しいお母さんや、「サロンに行けない」「行く時間がない」といった人には特にお勧めです。

サロンに来ていただくことはもちろん、好きなときに、好きな混ぜ方で使えるようにお伝えしています。私にはクレイがあるから、自分でケアができるから大丈夫って気持ちを抱いていただけたら嬉しいですね。

(自分に合った、様々な用途で使えるらしい。)


楽しさを感じる瞬間は?

濵口:「いいお母さんでいれました」とか「家事がいつもよりはかどった」とか、生活面が変わったと言ってもらえたときは泣きそうでした。「それがやりたかったの~!!」って気持ちが溢れちゃって。(笑)

表面的に見えないところに結果が出たときは本当に嬉しいし、サロンに来てもらったときは「同じ時間を楽しむこと」に集中できるから、私自身も安定するんです。

クレイから少し脱線しちゃうけど、チャンピサージって頭皮のケアなので、頭についても勉強しなくちゃいけなかったんです。

頭って、料理を作りながら明日の計画を建てたり、家を出て運転してるときに「鍵かけ忘れたかな?」って思い返したり、ずうーっと過去や未来を行き来している。本当は身体はここにあって、その人自身はここにいるのに。

地に足がついていないというか、ふわふわした状態になってしまうことが多い。私は今ここで満たされているっていうのをすごく大事にしていて、触れられている感触とか、とにかく今ここに私がいるっていうことを感じてほしい。

そういうことを伝えてからケアをしていくし、私自身もここで同じ時間を過ごしているというのが気持ちが良くって。呼吸に集中したり、そういうことって普段はなかなか感じられないからすごく楽しい。


— 僕は男ですけど、今日のお話は共感する部分がとっても多くて……削りようがないです。(笑)


濵口:本当に伝えてほしい!なんかこう、わなわなしてるこの時代に絶対必要なことじゃないですか。「外に出て風が吹いてるの、肌で感じましたか?」って聴きたいんですよ、みんなに。「葉っぱ揺れてるの、見えましたか?」って。

歩いているとたくさんの人とすれ違う。それぞれが頭の中では色んなこと考えているけど、「今日も葉っぱは風で揺れてるよ」って伝えたい。(笑)

そういうことに満たされていかないと、忙しなく流れている時間の中で幸せを感じられていない気がして。

子育ても、仕事も、気付けば追われている時間が当たり前になってきちゃってますよね。でも、風はそよそよと吹いているし、耳をすませば小鳥は鳴いているんです。

(彼女は「今を感じること」の大切さを訴える。)


— 今年に入って、chiicoLab.を通じて色んな方にインタビューさせていただいてるんですけど、TANOさんにとっての似顔絵は自分が人とコミュニケーションを取るためのツールでしかないと。未央さんの整理収納も、まなさんの薬膳も、あくまで偶然それに出会っただけで、誰かを支えたり、満たしてあげるための手段のひとつでしかない。

だけど、InstagramやTwitterといったSNSのプロフィールを見ると、はるさんが「自宅でサロンをやってます」とか「オンラインでも講座をやってます」とか、それがクレイセラピーだとか、チャンピサージだとか。そのコンテンツに目がいきがち。


濵口:本当にそうですね。実際に話して伝える、それ以外の伝え方が難しくて……。


— 「僕が広く世界に発信します!」なんて大それたことは言えないんですけど、今まさにはるさんが話してくださっていることを1人でも多くの方に知ってほしいんです。やってることの魅力は、本人が一番分かっていることだから。


濵口:本当にそれが難しいと感じるところ。私が投稿する内容ではサービスが最優先だから、「私はこんなことを思ってるんだよ」って、そういう部分は実際に話さないと難しい。


— 絶対に、話を聴くからこそ理解できる領域がある。活動やお仕事の同機はそれぞれだと思うんですけど、耳を傾けないと分からないですね。

(いまの働き方をどう構築したのか。)


育児、仕事の両立について

濵口:実は、そんなに難しいと感じるところはないんです。近所に子どもを預けられる託児ルームもあるし、実家も近いし、主人が協力してくれるので。

小学校3年生の長女は下の子たちとも遊んでくれるし、とっても心強い。特に、私は地元の同級生と結婚したので、実家が同じ区域に2つあるんです。(笑)


— それは頼もしい!


濵口:そう、お互いの実家に散らせるの。(笑)


— 実はうちも地元婚なんです。土井首で。


濵口:えぇーそうなんだ!

助けてくれる人が近くにいるって、すごく大きいですよね。私のサロンと提携してやってる託児施設もあるから、預ける預けない以前にそういう場所があるってだけで安心できる。

今は予約制にしてるし、協力してもらう人たちのおかげで、難しさはほとんど感じないです。


— 「1人目が生まれたときに理想論があった」っていうところが吹っ切れたというところにも繋がりますね。


濵口:そうなんです。主人が全く子どもと接したことのない人だったから、1人目のときは主人に頼らず「私がやった方が早い」とか思ってやっちゃった部分もあったし、「こんな風に育てたい」って気持ちが原因でぎゅーって閉じ込めていた部分もあった。2人目3人目になると、それが追いつかなくなっちゃって。

色んな人の手を借りて、色んな人の意見を聴く育児の方が断然良かった、私は。


— うちの嫁は、今そこのバランスですごく悩んでいるみたいで。自分が「こう育てたい!」って理想に対して、お互いの実家に預けると「食べ物はこれくらいにしておきたい」とかいうのもあって……。

もちろん、預かってもらってることに対するありがたさが一番なんですけど「ひ孫が可愛い」って、うちの祖父母がついつい多めにあげちゃうんです。(笑)


濵口:わかる~~~すごい分かる!!

私も本当に同じで、「それ、あげたくないな」って思うことにも疲れてしまった。「もういいや」って思えることが大事かもって思えるようになったことが自分の中で大きかったかもしれない。

大事に大事に育てた方が本当はいいのかもしれないし、その結果は誰にも分からないけど、自分の心の在り方を考えると「楽しく生きてればいいや!」くらいがちょうどいい。

うちの息子、お風呂からあがってくると前髪の部分しか濡れてないことがあるんです。ちゃんと洗えてなくて。でも、「髪の毛がちょっと洗えなかったくらいで死なん!」と思って、「洗えたね~」って言って笑うんです。(笑)


— お年頃になってきたら自分でちゃんとやりますよね。特に汗とか気になってしょうがないから。(笑)


濵口:そうそう、何とかなるって思いながら子育てしてますね。


— 勉強になります。(笑)


濵口:私も長女のときは食べ物も本当にストイックにやってたから、奥さんの気持ちがすごく分かる。保育士として色々と見てきた景色や経験もあるだろうから尚更。すごく分かるけど、自分を大切にすることも同じくらい大切だと思います。


— ありがとうございます。今日帰ったら、肩の力を抜くように伝えます。

(「生きてるだけで丸儲け」の子育てを実践。)


どういった方に体験してほしい?

濵口:この社会で生きているお母さん、そして忙しい人たちですね。感染症ももちろんだけど、それ以前に忙しないので。重ねてになりますが、「自分自身のケアをすること」「いまを感じること」はすごく必要なことだと思います。

先日、「コロナ×育児×夏休みをどう乗り切るか」という講座をZoomで行ったんですけど、自分にとって好きなこと、心地いいこと、喜ぶことをすべて書き出してもらったんです。

書き出すだけでもちょっとした自己分析になるし、それが自分の中の喜びボックスみたいなものになるんです。

別の講座のときには苦手なことも書いていただいたんですけど、「洗面所に落ちた髪の毛が嫌い」とか出てきて。それって、見過ごせる人もいるじゃないですか。(笑)

だけど中にはダメな人もいて、それぞれ感じる部分に対してどうアプローチをするのかも違う。

「予定が詰まりすぎた1週間が嫌い」だったら、その予定を減らしてみるとか。少しずつでも、いまの自分を知るきっかけっていうのを作っていけたらいいなと思ってます。


もっと伝えていきたいこと

濵口:クレイセラピー、チャンピサージをもっともっと認知していただけるように活動していきたいし、それ以上に自分の満たし方だったり、「もっと優先順位あげていいんだよ」っていうことを、より多くの方に伝えていけたらと思っています。


— ほかに伝えたいことはありますか?


言いたいこと、ぜんぶ言えました!!

(クレイセラピー、体験してみませんか?)


ほんわかとした優しい口調ながら、忙しない日々の中で生きる全ての人たちへ強いメッセージを送った彼女。自らの経験を基に語られる「自分の満たし方」には、とても大きな説得力があった。

社会の荒波や吹き荒れる逆風によって、「こうなるはずだった」毎日が削られていく。日々何かに追われている僕たちは、抱えなくていいはずの使命感を、まるで地層のように積み重ねていく。

そうやって、暮らしの中に見えているはずの楽しさやぬくもりが、いつの間にか見えなくなってしまうのだ。

妻が働き始めてから、僕たちは「リフレッシュデー」と称し、月に一度互いに子育ても家事もしなくていい日を設けた。エステを受け、友だちと遊び、嬉しそうにその写真を見返す妻を見ていると、なんだかこっちまで心地が良い。

近ごろは「来月は大村まで護身術の教室を受けに行く!これで○○(息子)も守れるし楽しみ~~!」なんてウキウキしている。彼女の「何が何でも楽しんでやろう」みたいな姿勢には感心するばかりだ。

互いにそんな時間を確保できるからこそ、不器用な大黒柱がそびえる長野家の子育ては成立しているのかもしれない。

仕事も、子育ても、恋愛も。

今を逃すと、二度と訪れないチャンスがあるかもしれない。だけど、今を逃すと、二度と取り戻せない自分がいるかもしれない。

誰しもそんなことを思いながら、今を生きるのだ。


取材対象者濵口春香さん
grace of genesisホームページ
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長野 大生

Text by...

asofuku.com編集長。長崎駅前のコワーキングスペースのスタッフとして働く傍ら、地域コミュニティchiicoLab.の運営に携わっています。その他、長崎のローカルメディア「ボマイエ」や「ナガサキエール」などでライターとして活動させていただいています。

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