エッセイ

「仕方のないこと」に抗うことこそが「生きる」ということ。

「年中さん」の頃、僕の両親が離婚した。僕たち兄弟の親権を得た母は当時住んでいた女の都の県営アパートを出て、祖父母が住む土井首へ住民票を移動。2人が住むには広々としていた4LDKの一軒家はあっという間にぎゅうぎゅうになり、僕たち兄弟は6畳の部屋を分け合った。小さい頃に3つ並べていたはずの布団はいつしか2つになって、それ…

インタビュー

私は、人に助けられながら生きてきたんです。

転職する前に比べて、出勤時間が大幅に遅くなった。以前の仕事では家を出るのが6時20分。いまの仕事は早くても8時20分。時間は朝も夜も同じように進むけれど、朝の2時間に余裕が生まれると生活に与える影響がとてつもなく大きい。それなのに、僕は転職前と変わらず「やばい!バスに間に合わない!」なんてことをよくやってしまう。

インタビュー

自分の心の在り方を考えると「楽しく生きてればいいや!」くらいがちょうどいい。

この1年で、僕の子育てに対する価値観が大きく変わった。正確には、僕たち夫婦かもしれない。小さい頃から週末は家族で過ごすことが当たり前の家庭で育ってきた僕たちは、自分たちに子どもが生まれてもそれは変わらない。そういう価値観の中で生きてきた。交際している間に保育士になるという夢を叶えた妻は、事あるごとに「仕事が休みの日に…

エッセイ

僕が足を踏み入れた居酒屋は、とてもとても密だった。

— 8月1日、空いとる?— 18時半に仕事が終わるので、それから大丈夫です!そんなやり取りをしてからというもの、あっという間に過ぎ去ってしまった7月。新しい職に就き、レジに打たれながら仕事を覚え、時たま波のように押し寄せる会計をバンバンと済ませられるようになった頃からイベントを企画した。ゲストを呼んではひたすら話し、…

エッセイ

もし、一生の中で話せる言葉の数が決まっていたのなら。

東アジアにある、小さな島国の西の果て。GoogleEarthが長崎県に向かってぎゅう〜っと寄っていく画を言葉にすると、そんなところだろうか。更にそこから南側にある長崎市の、また更に南側から文章を書き始めて、約1年の月日が流れた。色々な出会いや繋がりに恵まれて、いまは個人で運営しているこのサイト以外でも筆を執らせていた…

エッセイ

人は、仕事じゃなくて居場所を探す生き物だから。

—私はコンテンツを持ってないから。先日インタビューをさせていただいたn-spaceの友さんと話をしていると、よくそんな話になる。すると、同じくn-spaceの立石さんが決まって「中村友がコンテンツだから!」と諭すのだけど、当の本人は腑に落ちていない様子。—ちょーのは文章も動画もあるから。これはその2人からよく言われる…

インタビュー

「先を見ているリーダーと、熱を伝えていく私。」模索する地域コミュニティの形。

本を読むことが大好きだった少年時代。小学校3年生の頃から特に夢中になっていたのが、講談社・青い鳥文庫の「パスワードシリーズ」。電子塾という通信教育サイトで出会った小学生たちが、電子探偵団として様々な謎や事件を解決していく物語だ。当時からドラマや映画の世界に影響されやすかった私は、このときも迷うことなく触発されて…

インタビュー

誰かと一緒に食事をすることは、凄く素敵なことなんです。

— 早く食べてしまいなさい!この言葉に怯えてしまった小学1年生、当時6歳の私。大きなランドセルを背負ってくぐる門の中は、たくさんの友だちと楽しく過ごせるテーマパーク。机にはポケモンの筆箱を自慢げに置いて、先生の問いかけに大きな返事で答えて、休み時間になるとボールを持って校庭に駆け出す。転んでケガをしても、誰かとケンカ…

エッセイ

宝物をなくしたのは、利き腕のせい。

外出を控え始めて、どれくらいの時間が経っただろうか。朝の品川駅に始まる人通りチェックは、昼の浅草、夕方の渋谷とルートが出来上がっていて、バラエティ番組で息抜きをしようにも「※3月上旬に撮影されたものです」というテロップで現実に引き戻される。簡単な事って勘違いをしていたら判断誤って後ろを振り返るんだ何だっていつも近道を…

エッセイ

酸いを吐く私と、甘いを届ける妻の話。

昨年生まれたばかりの息子を妻ひとりに任せて4ヶ月。2月の下旬に航空券を予約してからというもの、来る初節句に向けて五月人形を買い、ちょっぴり豪華な料理をネットで漁って、野母崎の鯉のぼりをバックに家族写真を撮ろうと期待に胸を膨らませていた。本当であれば、来週にはルンルンで長崎への空の旅を満喫しているはずだったけれど、新型…